Cabin attendant
VS.
Flight attendant
みなさんおひさしぶりです。
このところ,「システム英単語」の改訂と国公立2次試験の解答作りであけくれていました。
ことしも入試の難問奇問悪問と格闘して疲れましたが,その話はまたの機会にします。
きょうはシス単改訂作業中に思いついたことからお話ししようと思います。
かなりまえからstewardessということばをあまり耳にしなくなりました。fireman→firefighterなどとおなじく,性差別[区別]をさけるために言いかえられたわけです。いまでは日本では「スチュワーデス」をたいてい「キャビンアテンダント」とか”CA”とよんでいますね。「スチュワーデス」ということばをうっかりつかうと「おっさん」とか言われそうな気がします
★ではcabin attendantをGoogleしてみましょう。
あれ?どうやら東アジア系の女性ばかりです。みんな日本人ぽい。
深キョンもいるよ。
たしかにcabin attendantという表現は英語の世界では見聞きしません。flight attendantか,集合名詞のcabin crewばかりのような気がします。
★ではflight attendantをサーチしてみましょう。
ほぼCaucasianばかりになりました!
cabin attendantっていわゆる「和製英語」なんでしょうか?
DUOという単語集の例文にもでてるんですが・・・
Wikipediaの「客室乗務員」の項目を見てみましょう。
はっきり「和製英語」と書かれています。
でも「出典は?」とつっこまれていますね。
辞書はどうでしょう?
いくつかの日本の辞書にはちゃんと英語として出ています。Geniusにはありませんが。
独立したエントリーで出ているのはflight attendantだけですが,cabin attendantに和製英語とは書かれていません。
でもぼくの手もとにある英米の辞書にはcabin attendantはのっていません。
flight attendantだけです。
OEDの例文でもflight attendantは8例ありますが,cabin attendantは 0 です。
やっぱり和製英語なんでしょうか?
データベースをしらべてみましょう。
まず入試英語。
cabin attendantがけっこうありますね。
つぎにうちであつめた映画とドラマのスクリプトです。
cabin attendantはまったくありません。
じゃあアメリカ英語のデータベース,COCAです。
ありました! ちょっとだけど。
flight attendantの1/86にすぎないけど,いちおうアメリカ英語でも使われているんですね。
いちおう和製英語説は否定されました。
Google Booksも見てみましょう。
これらはあきらかに日本の本ではありませんね。
最初の本は船のattendantの話だけど,最後のは文脈にflightsってあるから飛行機についての本ですね。
最後にNgram Viewerでしらべてみましょう。
stewardessは飛行機の発明(1903)以前からあったことばですね。1980年の前半からstewardessの衰退がはじまっています。flight attendantは1970年代からのびてきて1990年代後半にstewardessをぬいています。でもstewardessも最近ちょっともりかえしていますね。ただ,注意したいのはNgram Viewerは実社会の使用頻度のデータではなく,Google Booksの書籍のデータだということです。これをみて「またstewardessがつかわれるようになってきた」と結論づけることはできないでしょう。
リサーチにもとづいてWikipediaの記事をちょっと書きかえました。
それにしても日本ではなんでこんな少ない表現を使うようになったんでしょうね。ごぞんじの人はおしえてください。
ではまたSee you!
P.S. コメント欄で はあさん に参考になるサイトを教えていただきました!
このページによると,cabin attendantはJALがつくったことばだが,いまでは英語圏でも通じるということです。
http://stwds.com/jalana/info.html
関心があるひとはみてみましょう。