英文法の盲点 副詞節じゃなくても現在形なの?

副詞節じゃなくても現在形なの?  

条件の意味と動詞の形

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ぼくが高校の先生むけの文法セミナーをやったときのことです。講義を終えて講師室で一息ついていたら3人の女の先生が質問しにこられました。

 

「時・条件をあらわす副詞節では未来のことでもwillを使わず現在形を使うのは知っていますが,Whoever wins will get the prize. などの文では,どうして現在形winsが使われるのですか」

 

うーん,たしかにこれは学校ではあまり教わらなかったですね。

 

結論をいうと,現在形を使うのに副詞節とか名詞節とかの節の種類はあまり関係ないようなんですね。

 

条件の意味をふくむ節では、未来のことがらをさすときも、原則としてwillをつかわず,現在形をつかうと考えておいていいでしょう。(willが意志をあらわすばあいとか、仮定法については今回は考えないことにします)

 

ここでいう条件には2種類あります。

 

仮定「もしVするなら」

譲歩「たとえVしても」

 

 

とくに譲歩のばあいには現在形が使われる傾向がはっきりしているようです。

 

具体例を見てみます。

 

1) Whoever wins the game tomorrow, I’ll give him the prize.

「あしただれがその試合に勝っても,その人に賞をあげよう」

 

これはWhoeverの節が副詞節なので学校でならったとおりで問題ありません。

 

2) Whoever wins the game tomorrow will get the prize

「あしたその試合に勝ったひとはだれでもその賞をもらえる」

3) I’ll give the prize to whoever wins the game tomorrow.

「あしたその試合に勝ったひとはだれにでもその賞をあげよう」

 

これはどちらも名詞節ですが,winsは現在形になっています。「たとえだれでも」という譲歩条件の意味がふくまれているからです。全体の意味は1)とほとんどおなじです。

 

ネットでしらべてみましょう。つぎはWeb全体での件数です。

"Whoever wins the game will get ..."18件

"Whoever will win the game will get ..."0件

 

will をつかっているものは見つかりませんでした。

 

ちなみにCOCA (Corpus of Contemporary American English)

でしらべてもwhoever wins willが21件、whoever will win willは0件でした。

 

whateverはどうでしょう。「わたしはきみがいうことはなんでもやる」これも名詞節です。

 

"I will do whatever you say" 300件

"I will do whatever you will say"13件

 

 

 

つぎの例はどうでしょう。「あしただれが勝とうとどうでもいい」です。

who以下はどちらも「真の主語」の名詞節ですね。

 

4) It doesn't matter who wins tomorrow. 29件 

5) It doesn't matter who will win tomorrow.1件

 

COCAのcorpusではIt doesn't matter who winsが5、It doesn't matter who will winはゼロでした。

 

It doesn’t matterのあとにはif節やwhether節もつかわれます。

譲歩の副詞節としてのwhether節や (even) if節にはもちろんwillは原則としてつかわれませんが、it doesn’t matter +whether [if]節はどうでしょう?

 

Genius英和辞典にはIt matters little if [whether] he succeeds or not.「彼が成功しようとしまいとたいした問題ではない」という例文がのっていて、その解説に「if [whether,wh] 節内にはwill, wouldを用いない」と書かれています。

 

ところが2015年の東京理科大の入試にはつぎのような文があります。

 

6) It doesn't matter whether or not he will show up for today's meeting.

 

21世紀になってからの入試でdoesn’t matterのあとの節にwillがはいっていたのはこれひとつのみ。これはnative的にはどうなんでしょうね。文法のルールに絶対という文字ははまれではありますが。まただれかnativeにたずねてみたいと思います(読者のかたでnativeの知りあいがおられるかたはたずねてみてください)。

 

it doesn’t matterのあとにおかれたばあい、whether[if]節が名詞節なのか副詞節なのかはちょっとあいまいな部分がのこるので,つぎの文をしらべてみました。これなら確実に名詞節だとわかります。

 

"whether you win or not doesn't matter"24件

"whether you will win or not doesn't matter"0件

 

"whether I win or lose doesn't matter"86件

"whether I will win or lose doesn't matter" 0件

 

"whether you succeed or not doesn't matter"29

"whether you will succeed or not doesn't matter"0件

 

"whether I succeed or not doesn't matter" 17件

"whether I will succeed or not doesn't matter" 0件

 

合計

現在形156件

will V   0件

 

 

では形容詞節[関係節]はどうでしょう?

こんな例がありました。

 

the lucky Australian citizen who wins will get the chance to conduct research in nuclear science or technology in the U.S.

「勝ったラッキーなオーストラリア人はアメリカで原子核科学の研究をおこなう機会をえる」

 http://bit.ly/1Oqppdt

 

この文のwho wins は if he [she] wins に相当する意味、つまり仮定の意味をふくんでいるといえるでしょう。

 

おなじような意味を持つと思われるつぎの各ペアの形容詞節について調べてみました。

"anyone who wins will get" 15

"anyone who will win will get" 0

 

"anyone who solves it will" 11

"anyone who will solve it will" 0

 

"the person who dies will" 73

"the person who will die will" 11


"the person who wins will get" 73

"the person who will win will get" 3

 

"the man who wins will get" 5

“the man who will win will get” 0

 

 

"the person who wins the game will" 11

"the person who will win the game will" 2

 

"the person who loses will get"  15

"the person who will lose will get" 0

 

"the person who solves it will" 15

"the person who will solve it will"1

 

"the person who breaks it will" 6

"the person who will break it will" 1

 

合計すると

現在形224

will V 18

 

まあGoogleの件数はかなりいいかげんだし、ネットの英語はどんな人が書いているかわかりませんが、いちおう条件をふくむ形容詞節は現在形のほうが多いということはいえそうですね。

 

きょうはひさしぶりにまじめなリサーチでした。

 

ではまたー

 

ぽか~ん

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フレーメン反応をしめすすず  あほづらです。

この写真はWIkipediaにのっています。どこでしょう?

おひまがあるかたはさがしてみてください。