ニンニクはなんのなかま? 植物の分類
きょうは英語のおはなしではありません。植物のことです。しかも植物分類学に興味がないかたにはほとんど虚無の内容ですのであしからず。
きょうなんとなくWikipediaをはしごしていて目をうたがうようなものをみつけました。
ニンニクが「ユリ科」に分類されていたのです!
「えー?まだユリ科だって?」
たしかに,おさないころから図鑑少年だったぼくは,ニンニクもネギもニラもラッキョウもユリ科とおぼえていました。これは花の構造など形態論的な特徴にもとづく「新エングラー体系」とか「クロンキスト体系」という分類法によるものでした。ぱっとみるとにているユリ科とヒガンバナ科を子房の位置で区別していた(前者は子房が花弁のうえ,後者はした)ので,こどものぼくにもわかりやすいものでした。
ところが20世紀のおわり,葉緑体DNAの塩基配列にもとづいてつくられたあたらしい分類法,APG体系が登場しました。この衝撃はすごかったです。だってクロンキスト以前とは全然ちがうんですもの。
たとえばこの分類をみると,なんとネギやニンニクはヒガンバナ科になっているじゃないですか!このショックはきのうまで日本人だとぼくが信じていたともだちに突然「じつはおれチベット人なんだ」といわれたくらいのものでした。でもおちついてかんがえてみると,ネギがユリ科というのには,こどものころからかなり違和感をもっていました。いわれてみると,ぴょーんとつったった1本のくきのうえに花がかたまってつくようすなど,ネギやニンニクはたしかにヒガンバナのなかまにおもえてきます。
ほかにもAPGのほうがしっくりきた分類はあります。おさないころから図鑑でアジサイがユキノシタ科に分類されているのをみて「なんでやねん」とおもっていました。これはクロンキストよりさらにふるい新エングラー体系分類学によるものでした。
アジサイ これが
ユキノシタ これのなかまって??
それがAPG方式ではミズキ目にいれられ,「アジサイ科アジサイ属」として独立したのです!ユキノシタとは目レベルでわかれてしまいました 独立ばんざい!
いまでもクロンキスト分類でかかれている記事はネットにもたくさんあります。それはべつにいいとおもいます。でも百科事典は学術的に最先端でなければいけません。
100歩ゆずって旧式の分類の百科事典があっていいとしても,クロンキストとAPGがまぜこぜになっているのはまずいとおもいませんか?
ネギのwikipediaをみると・・・
↑ネギにはこうかかれているんです。
おなじネギ属なのに,ネギがヒガンバナ科(APG)で,ニンニクがユリ科(クロンキスト)という double standard はだめでしょう。というわけで,植物学者でもないぼくがつつしんでかきかえいたしました。これでよかったのかしら?
記事の本文もつぎのようにしました。
ニンニク蒜、大蒜、葫、忍辱[2]、学名:Allium sativum)はヒガンバナ科ネギ属の多年草で,球根(鱗茎)を香辛料として用いる。かつてクロンキスト体系による分類ではユリ科に属していた。
というふうに,分類学って(すくなくともAPG以前は)ちょっといいかげんなもんだったんですね。
See you!