ミニマルフレーズでおぼえよう! まぎらわしい派生語(1)
ひとつの単語からの派生語がいくつもあって,おまけに形がちょっとちがうだけで意味用法が全然ちがうというやっかいなケースがいくつかありますね。(暗記力に自信がない)ぼく自身がやった記憶法を紹介します。いけそうなら使ってみてください。
みなさんはつぎの単語の意味はパッと区別できますか?
economical
economic
若いころぼく自身がまちがえたことがあって,なんとかしようと考えました。
economic「経済(について)の」
economical「安上がりの,おトクな」
形容詞は名詞の性質をあらわすためのことばですね。なのにこんなふうに名詞からきりはなして,形容詞を「ぼっち」でおぼえようとするからおぼえにくいのではないでしょうか。
そこで形容詞と名詞とを組み合わせた「ミニマルフレーズ」を作りました。
economical travel「安上がりな旅」ーーこうおぼえておけば,economicalの意味をおぼえるまでもありません。「経済の旅」では意味をなさないので「安上がりな旅」という意味が自然に浮かんでくるでしょう。
これは適当に作ったわけではありません。ちょっとしたくふうをしています。赤字の l に注意してください。
名詞の最後がeconomical とおなじ l の語を選んだのです。
「ネコ大好きフリスキー♪」というキャットフードのコマーシャルソングがありました。
これがおぼえやすいのは「ネコ大好き(suki)フリスキ(suki)ー」と,韻(rhyme)をふんでいるからでしょうね。「きっといいあす(asu) 大阪ガス(gasu)」とかいうのもありました。
韻をふんだこのフレーズでおぼえておけば×economic travelとまちがえかけても「あれ,なんか違和感があるな」と気づきます。
ぼく自身これですぐ思いだせるようになりました。
rhymeというとthe Beatlesの
”Yesterday
All my troubles seemed so far away ”
などのように,英語などヨーロッパの言語の詩に多いですが,
「星座のまたたきかぞえ うらなう恋のゆくえ
だって純情 どうしよう ハートは万華鏡」
*アニソンの歴史にのこるみごとなrhymeでしょう。
「夏が過ぎ 風あざみ…八月は夢花火」
*kazeazamiとyumehanabiは [e-a-a-i]と4個も同じ母音をそろえています。すごい。
「俺は東京生まれHIP HOP育ち. 悪そうな奴は大体友達」
など,日本の歌にも意外とrhymeしているものが多いです。rhymeがあるとノリがよくておぼえやすいですね。
economical travelをしっかりおぼえておけば,もうひとつのeconomicのほうが単に「経済(について)の」なのもおぼえやすいでしょう。こっちもフレーズでおぼえたいなら,
an economic critic 「経済評論家」なんていかがでしょう?(まあcriticは文学や芸術の評論家に使うほうが多いですけど)
(ここでちょっと注意。economy class「エコノミークラス」のようにeconomyも形容詞としてeconomicalににた意味で使われますが,こっちは名詞の前にしか置けません。補語にはならないのです。Air travel is economical.とは言えますが,Air travel is economy.とは言えません。
次回はこの方法でもっとややこしい単語にも挑戦したいと思います。
それではお元気で~ See you later, alligator.