Let's Speak Italian !
ちょっとまえにあべのハルカスにあるRosa Nera(黒バラ)というイタリアンレストランにいきました。
このお店野菜料理がメインでもりつけがきれいなのでけっこう気にいってるんです。なん回かいきましたが,いつもランチタイムでした。で,今回は一度ディナーをたのんでみようとおもって。
席に案内されてコースを注文し,ふとみるとなんかイタリア人ぽいウェイターさんがむこうにいるではありません
か!
にこにこえがおをふりまきながら客に日本語ではなしかけています。「イタリア人かな?」とぼくはききみみをたてました。その客が「カンツォーネがすき」といったら,ウェイターさんは「La Pioggiaはしってますか」とたずねました。客が「しらない」というとウェイターさんは”♬La pioggia. Non begna il nostro amore ♪”とうたいだしました。
こりゃまちがいなくイタリア人だ!
そのときからぼくの煩悶がはじまりました。
もう9年ほどもまえ,イタリアに行こうときめたとき,ぼくは「絶対英語はつかわない」とちかいをたてました(英語圏以外で英語をつかうのは英語帝国主義に敗北しているみたいでいやだったんです。英語教師のくせにへんな意地ですね)。そのためにほんの3か月ほどでしたが,日本イタリア会館にかよってone to oneでつけやきばのイタリア語をまなびました(Massimiliano先生どうしてるかな?)。まあそれまでもそれなりに独学はしていたんですが。イタリア映画のせりふのかきとりもがんばってやりました。
そう,Splendorという映画をいっしょうけんめいかきとったっけ。ぼくのすきなMarcello Mastroianni がでてるんです。(かれはこえがしぶいんだよね。発音もはっきりしていて初心者のぼくにもけっこうききとれました。教材にはおすすめですよ!)
で,イタリアではおよそ10日間,スーパーがどこにあるかたずねるときも,ホテルでテレビがうつらないと苦情いうときも,すべてたどたどしいイタリア語でとおしました(最後の最後にワインの機内もちこみでもめて空港の職員さんとけんかしたときだけは,さすがにイタリア語ではきつくなって,英語にきりかえちゃった。残念。)。
でもね,あんなにがんばったのに,イタリアからかえったら満足しちゃってすっかりイタリア語勉強しなくなってしまったんです。つかわない言語はすぐさびつく。いうまでもありません。
それからずっと,イタリア人とはなす機会などあるわけもなくすごしてきたわけですが,いまイタリア人がめのまえにいるわけです。
これはめったにない機会だ。はなしかけたい。でもムリだろ・・・
いや,がんばっておもいだせ!
かなりの逡巡のすえ,けっきょくはなしかけようときめました。よし,かえりぎわにしよう。ドジってはじかいてもすぐにげれるからな・・・
さあそれからがたいへん。
↑このまるいプリンみたいのがマッシュルームあじですごいうまい。
料理はきれいでおいしかったんですが,いろいろたべながらも,あたまのなかでは必死でばらばらに風化したイタリア語の知識をかきあつめはじめました。
ええっと,まずは規則動詞の現在形から,いやavere(=have)とessere(=be)だろ!ho, hai, ha, abbiamo, avete, hannoだったっけ。名詞の複数形はamico---amici, cosa ---cose...だよな。 あ,近過去形もつかわないと… 所有形容詞には定冠詞をそえるのよくわすれたよな…(←英語でいえば中1レベル)
さあお勘定です。よこめでみるとかれはぼくのうしろ2mほどのところにたっています。おつりをもらいました。さあやるしかない・・・勇気だせ!!
(以下はぼくとかれのdialogueの実録です。)
ぼく:Mi scusi, Lei è d’Italia?(すみません,あなたはイタリアのかたですか)
かれ:Si, (はい)デモ奥サン日本人。(←これ,かれがしゃべってる日本語)
ぼく:Magnifico!(それはすばらしい!)
かれ:Le piace Italia?(イタリアすきなんですか)
ぼく:Si, mi piace molto!(はい,大すきですよ)
かれ:È mai stato in Italia?(イタリアにいったことあるんですか)
ぼく:Sì, una volta.(はい,1回)
かれ:Dov’è andato?(どこにいったんですか)
ぼく:Sono andato a Firenze, Roma, e Pisa(フィレンツェ,ローマ,そしてピサにいきました)
かれ:Pisa(ピザね)!(←かれがPisaを「ピザ」と有声音で発音したのでぼくはびっくり)
ぼく:Pisa?(え?ピザって発音するの?)
かれ:Sì. (そうね)
ぼく:Mi piace Firenze di più.(フィレンツェがいちばん好きです)
かれ:Dov’è andato?((フィレンツェの)どこにいったんですか)
ぼく:Ehm ... conosce la *Specola?(えーと,スペコラってしってますか)*注)フィレンツェの変な博物館。
かれ:Sì, è molto famosa! 有名デショ!(←ここ日本語)。(もちろん,それは有名だよ)
ぼく:È molto interesante. ((スペコラは)おもしろいですね)
かれ:Parla italiano bene.(イタリア語うまいね)
ぼく:Grazie, ho studiato l’italiano fa dieci anni, ma ho dimenticato quasi tutto.
(ありがとう,10年前にイタリア語を勉強したんですが,ほとんど全部わすれてしまいました)
かれ:No, no.(そんなことないでしょ) あービックリシタ。(←日本語で。日本人から急にイタリア語ではなしかけられておどろいたということです)
ぼく:Ci vediamo!(またあいましょうね)
かれ:Ci vediamo!(またあいましょうね)
↑これ英語になおしてかんがえてみてください。どんだけ低レベルかわかるでしょ?時制も過去でいうほうがいいのに現在形でごまかしたりしているのわかりますか?
最後のGrazie以下のながいセンテンスははなしかけるまえにあらかじめかんがえてありました(笑)。
文法的解説はまたいつかやりますが,うえの対話にはかなりあやしい部分もありますので,ただしいイタリア語だとはおもわないでください。なんせしゃべったとおりの実録なので。あ,あきらかなまちがいをひとつだけ指摘しておきます:
誤ho studiato l’italiano fa dieci anni
→ho studiato l’italiano dieci anni fa
「~前に」は ”~+fa” です。dieci anniはten years。anniはanno「年」の複数形。annual, anniversaryとおなじ語源ですね。
これはスペイン語の影響でまちがいました(いいわけ)。faというのはfare「つくる」の3人称現在形ですが,スペイン語でもhacer「つくる」の3人称現在形を前置詞的につかって「~まえに」をあらわします。でもスペイン語では “hace +時間” の順でイタリア語の逆なんです。スペイン語でうえの文をいうと:
estudié italiano hace diez años.
となります。
またイタリア語復習しようかな・・・
イタリア語をごぞんじのかた,実録以外の部分にまちがいがあったらおしえてください。よろしく。
ではみなさん,Arrivederci, ciao !