Le Petit Prince の歌でフランス語入門

★「星の王子さま」のうたで

フランス語にしたしみましょう!

 

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高校生のころからフランス語にはあこがれていました。

 

思えばぼくがことばをすきになるのはいつも歌からでした。

テレビでFrançoise Hardyの歌 Ma Jeunesse Fout le Camp「もう森へなんか行かない」をきいてわすれられなくなり、レコードをかいにいきました。

 

フランス語の起源はスペイン語やイタリア語とおなじラテン語なのに、ゲルマンやケルトなどの影響なのか、独特のひびきをもつふしぎなことばです。

 

でもじつは音については日本人に意外となじみやすいことばだと思います。英語やスペイン語のようなはげしい強弱アクセントもなく、つよい母音がながくよわい母音がみじかくなることもあまりなく、タタ タタタ タタタタというおなじながさの音節がつづくリズム。日本語ににています。つづりもはじめは変にみえるけど、なれると英語よりだいぶましです。

そのうえ語彙はかなり英語とかぶっているし、文法も英語でおぼえたことが応用できるところがいくつもあります。

 

むかしNHKテレビのフランス語講師をしていた加藤晴久先生の本「憂い顔の『星の王子さま』」(すばらしい本です)にはつぎのようなことばがありました。

 

「英語とフランス語は基本的には同じ言葉とさえ言えるほど似ている。」

 

ぼくのような万年初心者ではなく、フランス語ひとすじの専門家がこういっているんです。いやぼくもそう思います、英語の語彙と文法をひととおり知っている人がもうひとつやるなら、フランス語以外にないって。

 

せっかく英語をならったのに、フランス語の世界をまったくたのしまないのは損だ思います。

 

英語はたしかにゲルマン語でしたが,とりわけ1066年のNorman Conquestあたりから、フランス語の影響がどんどんつよまって英語はかわっていきました。いまのフランス語が英語ににているように見えるのは、じつは英語のほうがフランス語化したからです。

 

さて、フランス語にちょっとだけ興味があるという人に、ひとつ歌をご紹介したいと思います。

 

Gérard LenormanのLe Petit Prince星の王子さま」です。

 

この歌はぼくが大学生だったころ、テレビのフランス語講座できいて気にいった歌です。文法的にもやさしいほうだと思います。ゆっくりしているので音もききとりやすいでしょう。

 

いい歌なのにネットにもこの歌を解説しているところがあまりないようなので、ドしろうとのぼくなりにがんばってみようかと思いました。

 

説明はまったくフランス語を知らない人をイメージして書きました。なにぶんぼくもしろうと(たぶん高校1年生の英語力レベル?)なので思わぬまちがいがあるかもしれませんのであしからず。

 

とにかく、この歌をおぼえるだけでずいぶんいろんな文法・表現・発音をまなべますよ。

 

 フランス語の音と文法へのイントロダクションとしていかがでしょう?

 Le Petit Prince Gérard Lenorman

www.youtube.com

 

On ne sait pas qu’il est 
On ne sait pas d'où il vient 
Il est né avec la rosée du matin 
Une rose entre ses mains 


Voyageur de l'infini 
Jeune Prince de la lumière 
Tu connaissais tous les secrets de la nuit 
Les chemins de l'univers 

(*---* refrain)
*J'attendrai ton retour 
Jusqu'à la fin des jours 
J'attendrai ton retour 
Prince blond de l'amour *

Il est venu sur la terre 
Et n'a vu qu'un grand désert 

Quelques fleurs sauvages, 
Un renard argenté et un poète égaré 


Il s'ennuyait bien souvent 
De sa rose, de ses volcans 
Il a demandé au serpent son ami 
De le ramener chez lui 

J'attendrai ton retour 
Jusqu'à la fin des jours 
J'attendrai ton retour 
Prince blond de l'amour

J'attendrai ton retour 
Jusqu'à la fin des jours 
J'attendrai ton retour 
Prince blond de l'amour

 

 

 

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 *それでは解説します。

(フランス語の下に英語のほぼ直訳を書きました。この英語はフランス語の構造をわかってもらうためのものなので、英語としては不自然なものもあるのでご注意。またいちおう発音をカタカナでかきましたが、ほんとうの発音をカナであらわすことはできませんから、ぜひ歌をなんどもきいて耳で音をつかんでください。)

 

1 On ne sait pas qu’il est 

(=One doesn’t know who he is)

「かれはだれなのか わからない」

 

★on(オン)はばく然と「人」をさす代名詞。この(オン)は鼻のほうへ空気をぬきながら発音します。いわゆる「鼻母音」です。nで舌を上の歯ぐきにつけません。鼻母音を出せるとフランス語らしくきこえます。歌をきいて感じをつかんでください。

★ne(ヌ)とpas(パ)はnotの意味で、ne + V + pasで動詞を否定します。pasは「歩」の意味で,ne + V + pasは直訳するともとは「一歩もVしない」でしたが、いまは単なる否定です。pasのsは発音しません。フランス語は発音されない文字が多い(特に語末の子音字)です。

★sait(セ)は動詞savoir「知っている」の現在3人称単数形。

★qu’il est  の qu’il(キル)はqui(キ)「だれ」とil(イル)「かれ」がくっついたもの。est(エ)は動詞être(エートル)(=be)の現在三人称単数形。stは発音しません。全体で[キレ]と発音。

 

 なお、onの語源はラテン語の homo「人」です。フランス語ではonは英語のoneよりずっとおおくつかわれます。weの意味になることもあります。On y va.(オニヴァ)はLet’s go.の意味。


2 On ne sait pas d'où il vient 

(=One doesn’t know from where he comes)

「かれはどこからきたのか わからない」

 

★d'oùは前置詞de(ドゥ)「~から」とoù(ウ)「どこ」がくっついたもので[du]と発音。deは[də]で母音はあいまいですが、d'oùでは[ウ]の音をつよくだしましょう。

フランス語では前置詞はいつも疑問詞の前です。英語みたいにwhere he comes fromというかたちはありません。

 

★vient(ヴィヤン)はvenir(ヴニール)「来る」の現在3人称単数形。enは鼻母音でtは発音しません。

 

3 Il est né avec la rosée du matin 

(=He was born with the dew of morning)

「かれはあさつゆとともにうまれた」

 

★est né(エ・ネ)はêtre(=be) の現在3人称単数形+ naître(ネートル)「生まれる」の過去分詞(ilとestはくっつけて「イレ」と発音します)。

英語にむりにおきかえるとis bornになりますが、これは受け身ではありません。naîtreは自動詞なので受け身はありません。

これは過去をあらわすかたちなのです。

 

現代の口語フランス語では英語の過去形にあたるものはつかいません。かわりに英語の現在完了形にあたるかたちで過去をあらわします。英語だと現在完了形にyesterdayとかlast yearとかつけるとおこられますが、フランス語ではそういうのをつけてもOKです(英語でもむかしはOKでした)。これは「複合過去形」というこわそうな名前でよばれていますが、つまりは現在完了形です。

ただし、英語のばあいはなんでもhave+過去分詞でいいですが、フランス語では動詞の種類により、ふたつの助動詞をつかいわけます

 

1 移動や状態の変化をあらわす自動詞なら  

  êtreの現在形+過去分詞

 

2 それ以外の動詞なら               

  avoir(=have)の現在形+過去分詞

 

 1の動詞にはaller「いく」, venir「くる」, partir「出発する」, arriver「到着する」, rentrer「もどる」, entrer「はいる」, tomber「おちる」, monter「のぼる」, devenir「なる」, naître「うまれる」, mourir「死ぬ」 など。これらは言語学で「非対格動詞」とよばれています。

 

じゃまくさいですが、イタリア語にもドイツ語にもこういう区別があります。英語にもかつては区別があって、He is gone「かれはいってしまった」.とかSpring is come「春がきた」.(古風)などの表現がそのなごりです(英語以外だと、スペイン語にはこの区別がなくなっていて楽です)。

ちなみに古典日本語の完了の助動詞の接続にもこれににた区別があって、1系の動詞には「ぬ」を、2系の動詞には「つ」をつけたそうです。

 

★avec(アヴェク)はwithにあたる前置詞。la(ラ)は女性名詞につく定冠詞(=the)。rosée(ロゼ) は女性名詞「露」、du(デュ) は前置詞de(=of)と男性名詞につく定冠詞 le(ル)がくっついたもの。deにはofとfrom両方の意味があります。matin(マタン)は男性名詞「朝」。inは鼻母音。フランス語の名詞はすべて男性と女性にわかれます。語尾で区別することもある程度はできますが、スペイン語(→スペイン語を学ぼう 参照)のように簡単な方法はありません。

*ただし、「秘伝」があります。スペイン語(イタリア語)をまなぶとフランス語の名詞の性もまちがいいにくくなるんです。フランス語の単語の性がわからないときは、その語と同語源のスペイン語の単語を思い出します。その性は90%くらいの確率でフランス語の単語の性と一致するのです。たとえば:

フランス語のéglise「教会」の性がわからない→スペイン語の「教会」iglesiaを思い出す。→ -aでおわるから女性 → égliseも女性?→あたり!

フランス語のciel「空」の性わすれた!→スペイン語 cielo「空」 を思い出す→-oでおわるから男性 → cielも男性?→あたり!


4 Une rose entre ses mains 

(=(with) a rose in his hands)

「ひとつのバラを両手にもって」

 

★une(ユヌ)は女性名詞につく不定冠詞(=a)。rose(ローズ)はバラ。さっきでたrosée(ロゼ)との発音のちがいに注意。eにアクセント記号(アクサン)がついたéは「エ」と発音します(つよくよむのではありません)。いっぽうroseのように単語の最後のeにアクサンがないときはふつうeは発音しません。

★entre(アントル)はbetween。internationalのinter-とおなじ語源です。enは鼻母音です。「オン」にきこえるかも。ses(セ)は3人称の所有格の代名詞son[所有形容詞]の複数形。といっても「かれらの」という意味ではありません。複数形の名詞のまえにつくかたちなのです。ここでは王子をさすので「かれの」の意味。

奇妙なことにフランス語の3人称単数代名詞の所有格には「かれの」「かのじょの」という区別はありません。「その人の」という意味しかありません。男性単数名詞につくときはson、女性単数名詞にはsa、複数名詞にはsesとかたちがかわるだけです。初心者はsaを「かのじょの」,sesを「かれらの」だとかんちがいすることがあるようです。(「かれらの」にはleurという語を使います)

★mains(マン)「手」。女性名詞ですが複数形です。フランス語の名詞の複数形はほぼすべて-sをつけるだけ。しかもふつうは発音しません。だから名詞だけきいても単数か複数かわかりません。冠詞や所有格のかたちで単数複数を区別します。「サ マン」なら「かれ[かの女]のかた手」、「セ マン」なら「かれ[かの女]の両手」の意味になります。まあ日本語の「この本」「これらの本」とおなじような感覚です。

mainの語源は英語のmanual「手の」とおなじ。スペイン語・イタリア語ではmanoです。どの言語でも女性名詞。

★この部分は英語の「付帯状況のwith」の副詞句のような意味で,est néにかかっています。

 

 

5 Voyageur de l'infini 

(=traveler of the infinity)

「無限の旅人」

 

★voyageur(ヴワヤジェール)「旅人」。英語でもつかうBon voyage!「よい旅を」のvoyage「旅」の派生語。でも英語のvoyager(ヴォイジャー)とはだいぶ発音がちがいます。eurは[ジェール]と[ジュール]のまんなかくらいの感じの音です。

★l'infini(ランフィニ)は男性定冠詞le(ル)がinfini(アンフィニ)「無限(の世界)」と合体したもの。ふつう母音ではじまる名詞は定冠詞と合体します。例 la + église →l’église(レグリーズ)「教会」。この in も鼻母音。


6 Jeune Prince de la lumière 

(=young prince of the light)

「おさないひかりの王子」

 

★jeune(ジェヌ)「若い,おさない」。prince(プラーンス)「王子」。lumière(リュミエール)「光」。神戸のluminarie「ルミナリエ」、血痕の検出につかわれるluminol「ルミノール」などと同語源。

 

 


7 Tu connaissais tous les secrets de la nuit 

(=You know all the secrets of the night)

「きみはよるの秘密をすべてしっていた」

 

★tu(テュ)はyou。connaissais(コネセ)は動詞connaître(コネートル)「知っている」の半過去2人称単数形というかたちです。「半過去」とは変な名前ですが気にしないでください。とりあえず、過去の状況・状態をあらわす、と思ってください。

*フランス語にはふたつの「知っている」があります。1 On ne sait pas qu'il estにでてきたsavoirは「事実を知っている」、いっぽうconnaîtreは「〈人・もの〉を(見たりきいたり)して知っている、認識している」という意味です。この区別はイタリア語、スペイン語、ドイツ語にもあります。英語や日本語にはこの区別がないので、日本人は(ぼくもふくめ)かならずこのふたつを混同します。

 savoirは英語のsavvy「知識;見識がある」,sage「賢人,かしこい」とおなじ語源で,ラテン語sapere「~をあじわう,区別する」がもとです。いっぽうconnaître はconnoisseur「目利きの人,通,鑑定家」やrecognize, cognizeとおなじ語源で,すべてラテン語cognoscere「~を知っている」からきています

 

★tous(トゥ)はallの意味。複数名詞につくかたちです。les(レ)は定冠詞の複数形。複数になると定冠詞は男性女性の区別がなくなり、すべてlesになります。フランス語では複数形の名詞につける形容詞にも冠詞にもすべて-sがつきます。でも発音はふつうしません。tousの単数形はtoutで,語源はtotalとおなじ。イタリア語ではtuttoスペイン語ではtodoとなります。

 

★secrets(スクレ)「秘密」。英語のsecretsとまったくおなじつづりですが、tもsも発音しません。

★nuit(ニュイ)「夜」。女性名詞。 Bonne nuit.(ボンヌ ニュイ)「おやすみ」。英語のnightとは遠い祖先がおなじだそうです。

 


8 Les chemins de l'univers 

(=the ways of the universe)
「宇宙のみちを」

 

★chemins(シュマン)「道」の複数形。univers(ユニヴェール)「宇宙」。この語句も7のconnaissaisの目的語。

 cheminはスペイン語camino「道」,イタリア語のcammino「歩行,道」と同語源。

 

   ◆つぎはrefrain(ルフラン)の部分です。


9 J'attendrai ton retour 

(=I’ll wait for your return)

「ぼくはきみがかえるのをまつよ」

 

★J’attendrai(ジャターンドレ)はje(ジュ)「わたし」と動詞attendre(アターンドル)「~を待つ」の1人称単数未来形が合体したもの。attendreは英語のattendとおなじ語源。

★tonは2人称単数の所有格で男性単数名詞につくかたちです。retour(ルトゥール)「帰り」は英語のreturnとおなじ語源。re(ふたたび)+tour(まわる,もどる)。


10 Jusqu'à la fin des jours 

(=until the end of the days)

「ひがくれるまで」

 

★Jusqu'à(ジュスカ)「~まで」。fin(ファン)「おわり」。des(デ)は前置詞deが定冠詞複数形lesと合体したもの。finは英語のfinish,イタリア語のfine「終わり」とおなじ語源。jours(ジュール)はjour「日」の複数形。Bonjour.(=bon(よい)+ jour)はおなじみですね。英語のjournal(もとは「記」の意味)とおなじ語源。

 


11 Prince blond de l'amour 
(=blond Prince of the love)

「金髪の愛の王子」

 

★blond(ブロン)「金髪の」形容詞。フランス語の形容詞はふつう名詞のうしろにおきます。

★l’amour(ラムール)は定冠詞leとamour(アムール)「愛」がくっついたもの。amateur「好者、アマチュア」、amiable「想がいい」とおなじ語源。イタリア語ではamore、スペイン語ではamorです。

 


12 Il est venu sur la terre 

(=He has come on the earth)

「かれは地球におりた」

 

★est venu(ヴニュ)はêtre(=be) の現在3人称単数形+ venir(ヴニール)「来る」の過去分詞で複合過去形(→3参照)。英単語 prevent「(まえに来る→)~をじゃまする」とは同語源。revenue「re(もどって)+venue(来たもの)= 収入」もおなじ。

★sur(シュル)「うえに」前置詞。surrealism「シュルレアリスム現実主義」のsur-とおなじです。

★terre(テール)「地球、大地」。イタリア語ではterra、スペイン語ではtierra。映画 ET はextraterrestrial「地球外の(生命体)」の意味。SFに出てくるterraforming(惑星を地球のようにつくりかえること)、Mediterranean「中海の」にもおなじ語源がはいっています。


13 Et n'a vu qu'un grand désert 

(=And saw only a big desert)

「そしてみえたのはただ ひろい砂漠と」

 

★et(エ)「そして」=and。 n’a(ナ)はne(=not)+ aが合体したもの。このaは動詞avoir(アヴワール)(=have)の現在3人称単数形。vu(ヴュ)はvoir(ヴワール)(=see)の過去分詞。

★a + vuで「~をみた」という複合過去形(→3参照)。 

★qu’un(カン)はque +不定冠詞男性形un(アン)の合体。ne ... que ~で「~しか...ない,~よりほかに...ない」つまりonlyの意味になります。このqueはthanの意味です。

★grand(グラン)「大きな」。 désert(デゼール)「砂漠」。英語のdesertとほぼおなじつづりですね。語源的意味は「見すてられた土地」で動詞desertと関連します。


14 Quelques fleurs sauvages, 

(=Some wild flowers)

「いくつかの ののはなと」

 

★quelques(ケルク)(=some)。fleurs(フルール)「花」。flowerとおなじ語源。スペイン語ではflor,イタリア語ではfiore。

 

sauvages(ソヴァージュ)「野生の」という形容詞。fleursにあわせて-sがつき複数形になっています。英語のsavageとおなじ語源。

 


15 Un renard argenté et un poète égaré 

(=A silver fox and a stray poet)

「ギンギツネとみちにまよった詩人だけだった」

 

★renard(ルナール)「キツネ」。argenté(アルジャンテ)「銀の」。ラテン語 argentum「銀」から。Argentina「アルゼンチン」もおなじ語源。poète(ポエト)「詩人」。égaré(エガレ)「道にまよった」。

フランス語の「ガ」はちょっと「ギャ」にちかくきこえます(でも決して「ギャ」ではありません)。だから歌手のFrance Gallは「フランス・ギャル」,garçon「男の子」は「ギャルソン」と書かれるわけですね。

 


16 Il s'ennuyait bien souvent 

(=He very often misses)

「かれはいつもこいしくおもっていた」

 

★s’ennuyait(サンニュイエ)は動詞s’ennuyerの半過去3人称単数形(→7参照)。s’ennuyerは再帰代名詞se(=oneself)とennyuyerがあわさったもの(こんなふうに頭に再帰代名詞をくっつけた動詞は、フランス語文法では「代名動詞」という変な名前でよばれます)。スペイン語文法やイタリア語文法の本では「再帰動詞」です。

 

ennuy「アンニュイ」って日本語でもつかいますね。でもs’ennuyer de ~は「~をこいしくおもう」という意味になります。つぎのDeにつながります。souvent(スヴァン)(=often)。bien(ビヤン)は「とても」。

 


17 De sa rose,  de ses volcans 

(=his rose, his volcanos)

「バラと火山を」

 

★saは3人称単数所有形容詞の女性名詞につくかたち。sesはおなじくその複数形(→4)。 volcans(ヴォルカン)「火山」=volcanos。

 


18 Il a demandé au serpent son ami 

(=He asked the snake his friend)

「かれはともだちのヘビにたのんだ」

 

★a demandé(ドゥマンデ)はdemander(ドゥマンデ)(=ask) の複合過去形(→3参照)。

demander à A de Vで「AにVしてとたのむ」です。19のDeにつながります。demanderはもちろん英語のdemandとおなじ語源。au(オ)は前置詞à+定冠詞leがくっついたかたち。serpent(セルパン)「ヘビ」。son ami(かれのともだち)は「ソンナミ」とくっつけて発音します。serpentとson amiは同格関係です。

 


19 De le ramener chez lui 

(=to take him back home)
「ふるさとにつれかえってと」

 

★deは18で説明したdemander à A de Vのdeで、英語のto不定詞のtoとおなじはたらきをしています。leは不定冠詞ではなく、「かれを」という意味の代名詞。ロマンス系の言語では代名詞が動詞のまえにくることがよくあります

★ramener(ラムネ)は「~をふたたびつれていく, つれもどす」。

★chez(シェ)は「~のうちへ」をあらわす前置詞。lui(リュイ)は代名詞「かれ」の前置詞のあとにおくときのかたちです。

 

またまたヘヴィーな記事でしたが、いかがでしたか?

 

キツネとかヘビとかいろんな「キャラ」がでてきて「星の王子さま」をよんだことがないと、なんのことだかわかりにくいところもあったと思います。

 

星の王子様の本のほうも(なに語でもいいですから)ぜひよんでみてください。この歌詞がなにをあらわしているのかもよくわかりますよ。

 

このうたでフランス語をすきになるひとがいればうれしいです。

 

 

 

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それでは Au revoir!  A bientôt!