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こんにちは。SPO理論の刀祢雅彦です。

 

 こんにちは。

SPO理論の刀祢 雅彦 です。

   Hi !  I'm Masahiko Tone,  システム英単語

シス単      the proponent of "SPO theory".     

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英語を中心に言語その他自分の趣味領域のことをつれづれなるままに書いていこうと思います。よろしくおねがいします。

 

  前置詞の主語をつかまえて

      -----SPO理論への招待★★★

 

前置詞は小さいけれど英語のしくみをガッチリささえている大切なことばたちです。

 

ぼくはこのことばたちに魅せられてもうン十年になりますが,いまでもそれらのはたらきや使われ方におどろいたり感心したりすることがよくあります。本を読んでいても,ドラマを見ていても,おもしろい使われ方の前置詞がでてくると,そっちに夢中になって話のほうをわすれてしまいます。

 

ある意味病気ですね。

 

そのくせ自分が書いた英文をアメリカ人にチェックしてもらうと,いまだに前置詞をなおされることがあります(泣)。まあ奥が深いですね,前置詞は。

 

ちょっと前置詞の活躍ぶりを見てみましょう。次の英文とぼくの日本語訳をくらべてみてください。

 

 Put me on your horse, take me in your embrace—carry me away through the forest, over the mountains, across the river into your own sunlit room. ---The Essential Tagore

 

「わたしをあなたの馬にのせて,あなたのうでにだいて,森をぬけ,山々をこえ,川わたって,日のあたるあなたの部屋につれていって。」

 

日本語訳には動作を表わす動詞が6つもあるのに,英文には動詞は3つしかありません。いっぽう前置詞は6つもあり,それらが一連の動きをあざやかに,なめらかに描いています。こんな文にであうと,ぼくは前置詞のダイナミックな表現力に感心してしまいます。

 

ほとんどの前置詞の本来の働きは,空間における物の位置や運動の方向を表わすことです。

しかし,前置詞たちの活躍の場は空間的表現にとどまりません。その守備範囲はメタファ(隠喩)やメトニミー(換喩)などによって,時間・状態・関係・精神活動など,抽象的意味の世界にまで広がっています。それこそが前置詞が重要である本当の理由です。

 

たいていの前置詞関係の本は,ひとつひとつの前置詞の意味や用法をあの手この手で説明しようとしています。

もちろんそれも大切ですが,その前に前置詞がどんなしくみではたらいているかということを理解しておくべきではないでしょうか。

 

 前置詞たちのはたらきを,ごいっしょに見ていきましょう。

 

★前置詞にも主語がある!

前置詞(preposition以下 P) のうしろにはふつう名詞がありますね。これは学校で教わる文法で「前置詞の目的語(O)」とよばれています。

 

でもこれだけでは前置詞の本当の働きはつかみにくいのです。

 

前置詞(P)のはたらきをとらえるには「前置詞の(意味上の)主語(S)」というコンセプトが必要です。

 

つまりつぎのようなユニット,「S-P-O」で考えるわけです。

 

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「SがOに対し,Pという関係にある」という形で意味をとらえるのです。

このアプローチを SPO理論 とよぶことにしましょう。

 

どうしてSPO理論が必要なのでしょう?

 

つぎの問いを見てください。慶応大学で出題された問題です。

 

To make pasta, we first need to boil plenty of water (  ) a pot.

1 by  2 for  3 in  4 with

 

「パスタを作るには,まずなべでたくさんの水(湯)をわかす必要がある」という意味ですね。

 

これはnative speakerにとってはまったくわかりきった問題のようです。なん人かのアメリカ人にやってもらいましたが,かれらは一瞬のまよいもなくおなじ答をえらびました。

 

 

その答は3 の in です。

 

こんなブログを読んでいるような英語好きのあなたには簡単すぎましたか? ところがこの問いを日本人の学生さんにやってもらうと,4 with (あるいは1 by)をえらぶ人がたくさんいるのです

 

なぜでしょう?

 

おそらく日本のほとんどの学校ではこの文を説明するのに「(   ) a potは動詞boilにかかる副詞句」と教えるでしょう。

つまり「なべで + わかす」という考え方です。

この考えかたでいくと,なべは湯をわかすための道具なのだから,道具をあらわす前置詞 with (あるいはby)を使うはずだ」と考えてしまうのは当然です。

 

でも,少なくともこの問題を解くにはそれとはちがう考え方が必要なのです。

 

正解に達するには,まず

 

  water + (   ) +the pot 

 

というSPO関係を意識し,つぎに (   )にはどの前置詞がふさわしいか考えればいいのです。そうすれば私たち日本人でも正解が in であることが自然にわかります。

 

「ということは,in the potはwaterを修飾している形容詞句だというのか」と考えた人がいるかもしれません。そう考えてもべつにかまいませんが,SPO関係は意味的関係であり,文法的な修飾関係とはいちおう別のものだと思ってください。

 

では次の問題はどうですか?これはぼくのオリジナルです。

 

Boil some water (   ) the stove.  (このstoveはコンロのことです)

1 in 2 on 3 with 4 by

 

ここまで読んできたみなさんにはすぐに正解がわかったでしょう?

 

そう,

 some water + ( ? ) the stove

と考えれば,答はすぐにon だとわかりますね。 

 

さて,上のふたつの問題からわかる日本語と英語のちがいはなんでしょう?

 

 

日本語では「湯をわかす」という行為と,「なべ」あるいは「コンロ」というものの関係はなにか,と考えます。「なべ」と「コンロ」は,どちらも「湯をわかす」という行為をするために使うもの,道具[手段]ですから,どちらも同じ「なべ + 湯をわかす」「コンロ + 湯をわかす」でいいという考え方なのです。「道具」とか「手段」というのは抽象的な概念です。

 

いっぽう,英語では,そのような抽象的な表現をしないで,水をわかすとき,水となべ,あるいは水とコンロがどのような空間的位置関係にあるのかを意識し,それを位置の前置詞によって具体的に表現するのです。

 

日本語であえておなじような表現をするなら「水をなべに入れてわかす」,「水をコンロにのせてわかす」という感じになるでしょう。日本語でもこんなふうにいえないわけではありませんが,ふつうは「で」をつかうでしょう。

 

この例のように,英語はある事態を描写するとき,日本語よりもずっと,空間的な位置関係を具体的に表現する言語だといえると思います。

 

このようなちがいによって,言語はざっと二つにわけることができるかもしれません。

 

「空間表現指向言語」(仮)「抽象表現指向言語」(仮)です。

 

英語でも「抽象的表現」を使うことはあります。たとえば:

 

I went there by taxi.

 

この文ではby taxiは went thereという行為がどんな手段でなされたかを抽象的に表しています。「手段のby」は特に抽象的な前置詞です。その証拠にあとにおかれた名詞 train には,普通なら可算名詞なので単数形には冠詞(限定詞)が必要なはずなのに,なんにもついていません。いいかえるとこのtaxiは色とか大きさとか具体的な性質からきりはなされた,抽象化した概念としての taxiなのです。

 

 

一般に英語は「空間表現指向」,日本語は「抽象表現指向」が強いと思います。

 

このちがいのせいで,日本人が英語の前置詞の使い方を理解しにくいばあいが多いのではないかとぼくは思います。

 

「前置詞がわかれば英語がわかる」はそのような問題意識を持って書きました。この本を見ていただければ英語がいかに空間表現指向であるか,おわかりいただけると思います。

 

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 Amazon.co.jp: 前置詞がわかれば英語がわかる: 刀祢 雅彦: 本

 

   ★宿題  Give it a try!    

 

(   )にあてはまる前置詞を考えてください。

 

1 Wipe your shoes (  ) the doormat.

 

2 We went to the park (  ) his car.