DRUG FREE は麻薬天国??
むかし,ぼくは宝島社からでていたVOWという変な本がすきで,全部もっていました。誤植やへんな看板の投稿写真をあつめた本。その本にのっていた記憶がある,
DRUG FREE ZONE
という看板。投稿者は海外旅行にいったらこんなのがあっておもしろいのでとったらしい。
もしかしたらそのひと,すごい誤解してたのでは?
「麻薬やり放題だよ」みたいな意味にとったから投稿したのでは?
逆ですね。「麻薬禁止区域」という看板です。どこの世界にわざわざ「麻薬やり放題」って看板だすくにがあるでしょう?
GUN FREEという看板をみてもこんなことをしてはいけません。
freeというのはたしかにちょっとやっかいな単語ですが。
確認しましょう。
free + A(名詞) →Aが無料(自由)
A(名詞)+-free →Aがない・Aは禁止
これが原則です。
「Aがない」という意味の表現はみぢかになりつつあるとおもうのですが。「バリアフリー」とか「シュガーフリー」とか。まだうえの原則があやふやなひとがおおいみたいです。
「Smoke Freeってかいてあるからタバコすってたらおこられた」とか「Alcohol-Free Partyだっていうから,ただでさけのめるとおもったのに,さけが全然でなかった」とかいろいろな悲劇をみみにします。
まちがいやすい例をみていきましょう。
まずライブハウスのコンサートなどの「ドリンク無料」は?
「Charge込」という言語感覚がすごいですね。
日本英語ではこのようにDRINK FREE をよくみかけます。「ドリンク無料」とおなじ語順なので,われら日本人にはしっくりきますが,これも日本式ガラパゴス Englishです。
まあ日本人しかこないイベントならこれでいいんですけどね。
でもそれならかたかなで「ドリンクフリー」でいいのに。
英語のくにのひとがみたら「のみもの なし」か
「のみもの禁止」だとおもうでしょう。
日本以外ではもちろんこうです。
そう,FREE DRINKですね。
つぎに日本のWeb Siteでよくみかける
This site is link-free.
「このサイトはリンクなしです・禁止です」みたいな意味になりますね。
感じわるいです。
「リンクは自由」といいたいならPlease feel free to link to us.とかYou are free to link to this page.とかかけといってるひともいますが,ネットの世界ではリンクはるのって自由なのがあたりまえではないでしょうか。
公道に面した土地におみせをひらいて,でかい看板をだしといて,その看板のかたすみに
「当店を地図にのせるのは自由です」
ってわざわざかいてあるようなこっけいさを感じます。
自由がデフォなんだから,リンクはってほしくない人だけ「リンク禁止」ってかけばいいとおもいます。また特定のひとだけにみてほしいならFacebookで公開制限するとか,闇Webつかうとか(笑)すればいいですね。
この日本ガラパゴス英語もむかしからまちがいだといわれているのに,しぶとくつかわれていますね。これは文化や価値観もからんでるんでしょうね。
まあ個人のブログとかなら,どんなとんでも英語かいても個人のfreedomでしょう。
ぼくがこのブログにのせている英文作品の英語だってあやしいもんですしね(いちおうnative speakerにチェックはしてもらっていますが)。
でも公共のサイトでは
さすがにlink freeは
ちょっとまずいでしょう。
たとえば:
自然言語処理をしごとにしてるサイトで
不自然英語link-freeはまずいのでは。
もっとまずいのは大学のサイトです。web siteは世界にみせる大学のかおみたいなものなんですから。
これは学習院大の研究室。
これは信州大。
同志社です。
早稲田の "Academic Writing Program" のサイトです。
Writingのサイトでlink-free…
岡山大も。
まだまだ いくらでもあります。
北大も。
そしてこれは東京大学のサイトです。
さて,うえに
「A(名詞)+ free →Aがない・Aは禁止」
とあるのをみて,
「じゃあ『入場無料』のADMISSION FREEはどうなんだ?これは和製英語じゃなくてちゃんとした英語だろ!」とおもったひとがいるかもしれませんので,
それもしらべてみました。
まず辞書をみてみましょう。
たしかにAdmission Freeとあります。
〔掲示〕とありますね。
こちらにはどちらの順序でもおなじだとかいてあります。
Entry Freeというのものっています。
でも,こういうのがのってるのって日本の辞書ばかりのようです。
OEDもみましたが
free admissionは17件ありますが,
admission freeは 0件でした。
「むこうの辞書はこういう掲示みたいなのは
のせないのでは?」
そうおもわれるかたもいるでしょう。
たしかに辞書だけではよくわからない。
そういうときは,
そう,画像検索です!
まず "admission free"を検索しました。" "で語順を固定しています。
あれー,語順指定までしてるのに,でてくるのはfree admissionばかり。ひだりのはしのまるいやつはうえとしたにfreeがありますが。あ!みぎしたのやつは?
おしい,isがはいっています。これは文ですね。
さらにscroll してさがしてみると・・・
あ,やっとひとつあった!Admission Freeだ。
さっそくクリックしてみると・・・
がっくり・・・日本のイラスト販売サイトでした。
よしつぎはentry freeだ。
あれ・・・全部free entry。
じゃあ だめおしでNgram Viewerでは?
まあこれは本のデータなので,掲示とかの表現はすくなそうですが。
というわけで,みなさんもfreeの表現は誤解しないようにご注意ください。
CU!
P.S.
ある英語質問forumでこんなやりとりをみつけました。Native Speakerでも意見がわかれるみたいですね。
In a few weeks our students can come see a film at school; they don't have to pay to get in. What do I write on the invitations? Free entry? Free entrance? Free admission? Admission free?
Thx
Use either of the last two.
Richard Maurer
In Britain it would usually be "Admission free".
"Free entry" tends to be used to indicate that there is no restriction on those who are permitted entry. "Free entrance" means that the doors are not blocked.
"Free admission" would be fine, but is unidiomatic.
Matti
"Free admission" would be usual in the US unless in menu-like bill of charges: Admission .. Free, T-Shirt .. $12, etc. "Entry" suggest enrollment in some kind of contest or lottery, e.g. "includes free entry in drawing for fabulous door prizes." "Free entrance" does not seem to me very likely in any public gathering.
Joe Fineman